2017年12月号

社長からのLove Letter 新創業第3期(17年度) 12月号 株式会社クエスト社長 橋本 登

『愛があるなら叱りなさい』

以前から注目していた、シンクロナイズドスイミング日本代表ヘッドコーチの井村雅代氏の講演録を読んだので、その中で感銘を受けた部分をご紹介します。厳しい指導で有名な井村氏ですが、前回のリオ五輪が9回目、次の東京が10回目のオリンピックへの挑戦になるとのことです。
「この環境の中から金メダルは生まれるのよ」
ご承知の通り、リオ五輪は最悪の環境でした。食事はひどいしシャワーは途中で水になる。もっとも惨かったのは報道でも取り上げられたプールに藻やバクテリアが発生して水の中が全然見えなかった。そんな時に絶対にしてはいけないことは愚痴を言うことです。私は選手に「この環境の中から金メダルは生まれるのよ」と言いました。そこに至るまでに徹底的に仕上げてきた国は、ロシアのように何が起こってもやっぱり崩れないんです。
「この子たちに絶対にメダルを取らせてやろう」
今の選手たちは試合に負けて悲しくて泣き崩れた経験がないんです。おまけに「精一杯やったからいいんじゃない」と周りの大人たちが声を掛けるわけです。でも、メダルを取りに行って取れなかったら「失敗」なんです。底浅い慰めで彼女たちから失敗から学ぶ絶好のチャンスを奪ってしまっていたんです。そして飛び上がる位嬉しい思いをしたこともない。つまり達成感を味わったことが無い。だから私は彼女たちに全体メダルを取らせてやろうと心に決めました。

「無理をしなさい 強くなる方法はそれだけ」
今の日本の企業では「無理をしなさい」っていったら大変なことになるようですが、そんなことを言っている場合じゃないんです。練習は嘘をつかない。頑張って当たり前。どんな質の頑張りをするかによって結果は変わるのです。メダルを取るという目標を持つことともう一つ、「一日、1ミリだけ前に行く」という日々の目標がいるんです。

「三つの叱るコツ」
今の若い子に相手の気持ちを察するとか、人の背中を見て学ぶとかを期待するのは難しいのでこういう風に直しなさいとちゃんと言ってあげなければいけないんです。叱るときはまず現行犯で叱ってください。その時に古いことを持ち出してはいけません。それをやられると今やったことへの反省が薄れてしまいます。もう一つしてはいけないのはしつこくしかること。これをやると「もう分かったよ」と嫌気がさしてくるんです。現行犯で叱ること、古いことを持ち出さないこと、しつこく叱らないこと、この三つのコツを覚えてください。

世界の頂点を目指すということは選手にとってもたいへんなことですが、コーチにとって並大抵の覚悟では足りないことを教えてくれます。また、昔周りに多くいた、井村氏のような厳しい優しさを持った人が少なくなっているような気もします。講演の最後は「三流は道に流され、二流は道を選び、一流は道を創る」という言葉で締めくくられていました。

ありがとうございました。合掌