2016年7月号

社長からのLove Letter 新創業第2(2016) 7月号

『富国有徳』

623日に行われた英国国民投票。イギリスが国家としてEU(欧州連合)という共同体に残留するか、離脱して独自の道を行くかを問う大切な審判でしたが、残留派の楽観的観測を覆すまさかの結果が出ました。

現在のところのマスコミ等での分析では、「イギリス国民は間違った判断」 をしたとの評価が全世界を覆っていますが、比較的高齢者が 「Leave」 を選択したところに興味深い点がありますね。

 

新聞等による情報によると、多くの国民が ①移民、難民などの受け入れに対する嫌悪感 ②EU政策決定に従属せざるを得ない立場や負担金への反発 ③支配階級(エスタブリッシュメント)に対する反感 ④「大英帝国」への回帰願望 などを理由に投票行動に出たものとみていますが、すべて論理性の低い、たいへん感情的な判断ですね。 Britain(英国)と Regret(後悔)を合わせた造語で 「Bregret」(英国の後悔)と言う造語が報道の世界で踊っていますが、たぶんイギリスの多くの人々の今の感情を代表した言葉でしょう。

 

また、このことは当然ヨーロッパ圏だけの話ではなくて果たしてこれからどの国とどの国の連携が深まるのか、安全保障上のバランスが崩れ先行きの不透明感が増しました。そして何と言ってもイギリス通貨ポンドの相対的価値の下落で 「円高」 になり日本国内の輸出産業を直撃。更に 「世界同時株安」 の局面に入り、せっかく若干ですが景気回復傾向にある日本にとってもたいへん迷惑な政治経済状況になっています。

 

京セラ創業者の稲盛和夫氏はその著書 「生き方」 の中で国家の在り方を 「富国有徳」 であるべきだ、と説いておられます。まず、相手の立場を尊重する知足・利他の姿勢を持ち、豊かな富を活かして徳を持って他人や他国に報いるという国の在り方の提言です。

 

また同著にて 「世界連邦政府構想」 にも言及しています。経済の格差や摩擦を解消するためにヒトもモノも国境を越えて自由に行き交い、政策を一元化し通貨も統合してしまうという考え方です。

英国の例や現実世界の対極にある絵空ごと、一種のユートピア的発想に聞こえるかもしれませんが、本当に人類が幸せになっていくためにそういう概念や発想を持つことがこれからきっと必要になってくる、という気もします。

 

最後に二宮尊徳の言葉を書き添えて。

「湯船のお湯をかき寄せれば自分のほうに引き寄せられるが、その後にお湯は向こうに流れていってしまう

反対にお湯を押し出せば、自分の前から流れて行くが、少し後にはお湯が自分の方に戻ってくる

少し押せば少し返り、大きく押せば大きく返る 奪うに益はなく、譲るに益がある」

 

ありがとうございました。合掌